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僕の猫舎

映画・小説(主にミステリ)の感想を綴るブログです。

ライノクス殺人事件【感想・雑記】ーフィリップ・マクドナルド

本作は1930年にフィリップ・マクドナルドによって書かれた長編推理小説です。

 

 

ライノクス殺人事件 (創元推理文庫)

ライノクス殺人事件 (創元推理文庫)

 

 

 シリーズ探偵のゲスリン大佐が登場しないノンシリーズものとなっています。


話は少し感想から外れるますが、推理小説の感想を書くときには、あらすじでさえ省略したいと常々思っています。これから殺人事件が起ころうとする作品は特にそうです。決して、あらすじが必要ないとは思わないんですが、「あー○○が死んじゃうんだなー」と最初から知っていると、殺人が起こる瞬間まで少し気を抜いてしまう(それはお前が悪い)し、逆に被害者がわかっているから、周囲の状況や他の登場人物の発言に“必要以上”に警戒してしまうケースがあると思うのです。

今からその本を手に取ろうとしている読者に、少しでも先入観を与えることは無く、本の内容も紹介できるような書き方はないのでしょうか…。

 

話を元に戻して、本作のあらすじを簡単に…

 

そもそも本作は、ライノクスさんが殺される話ではなく、無限責任会社ライノクスにまつわる殺人事件。

会社は一時的な危機に陥っており、先6ヵ月の間耐え忍ぶこと、それがライノクスに残された唯一の、かつ最上の方法だった。好感のもてる社長F・X、臆病だが憎めない共同経営者リックワース、父の気質を忠実に受け継いだ息子アントニーの3人は、会社の為一致団結するが、危機の脱出にはもう一つ大きな壁が立ちはだかり…

かなりあらすじを紹介してしまいました。


本作の一番の特徴とも言われるのが、「結末」というタイトルで始まり、「発端」で終わるという大胆で実験的な手法が用いられている点です。「結末」では確かになぜそうなったのか?という謎を提起してはいるものの、その予想はかなりつき易いものでしょう。さらに従来の“オチ”にあたる結末が冒頭にきているというわけではなく、時系列で整理したうえでのただの「結果」であり、むしろ「発端」の方がオチとしての機能を十分果たしていることからも、実験的手法とはいいながら、従来の推理小説と同じような造りのように見えます。

 

物語自体は第一部の冒頭から、不快極まる人物マーシュの登場によって、大きく動き出します。この人物、なんとライノクスと関係のある人物のようで、彼とライノクスとの繋がりも謎の一つとなっています。そして、事件に用いられたトリックや第三部以降ライノクスを襲う第二の危機など、謎の盛り込み方は巧みで興味を引くだけに、どうしても「結末」での見え易さがもったいないところです。さらに「第二部」がそれらに拍車をかけている点も残念です。

 

しかし本書には、結末を想像できてもなお、また、わかっているからこそ楽しめる要素がつまっているため、決して最後まで退屈せずに読むことができるでしょう。それらは屈強な男同士の戦いであったり、特別な形で表される親子愛であったり、またうら若き男女の恋愛模様であったりして、エピソード事態の面白さだけでも一読の価値がある作品です。

気になる点はちらほらあるんですけどね

ウルリッチがしょっちゅう田舎に行く真の理由が明かされない点

 

では!