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僕の猫舎

主に海外ミステリの感想を綴るブログです。

四つの署名【感想・雑記】ーアーサー・コナン・ドイル

 

四つの署名 (新潮文庫)

四つの署名 (新潮文庫)

 

どーも、ねこです。

「四つの署名」で思い出したんですが、5年程前に買った少しお高めの万年筆。

いつか、大事な書類にサインしないといけなくなった時に、と思いながら一度も使ってません。婚姻届も使い損ねたし、いつか使う日が来るのでしょうか…

もうお気付きのことだろうとおもいますが

久しぶりに、前書きのネタが思いつきません。

 

本作は、 1890年に発表された、アーサー・コナン・ドイルによるシャーロック・ホームズシリーズの第2作目。前作『緋色の研究』においてイーノック・J・ドレッバー殺人事件の解決に成功したホームズですが、その後は本人曰く「だらだらした日常」を送っており、刺激的な謎を持つ事件の発生を切望していました。

そんな時一人の女性から、父の失踪とそれに伴う不可解な事件についての依頼が舞い込みます。謎の人物からの高価な贈り物が6年も続き、ついにその人物から面会を希望する手紙が届いたのです。二名までの同行が認められ、ホームズとワトスンは謎の人物との面会を果たします。そこで父の失踪の真相が明かされるのですが、ついに関係者の一人が死体となって発見されました……関係者を繋ぐ莫大な財宝の行方、死体の傍に残された義足の足跡と「四つの署名」、殺害現場に残ったクレオソート(タイヤ用ゴムやインクの原料)の異臭、これらの手がかりから、ホームズは天才的な頭脳、追跡犬トビィ、ストリートチルドレンで構成されたベイカー街遊撃隊などを駆使し、真相解明に着手します。

 

あらすじについてはこんな感じで、こう文章にしてみると、本格推理小説っぽく見えなくもないですが、本作はまるっきり別物です。

あからさまな証拠、臭いを辿るという読者に見えない手法、殺害のきっかけ(動機)、が主な要因で、前作『緋色の研究』のほうがまだ、本格推理小説の要素を満たしていたでしょう。なので推理を楽しむというより、運命に翻弄された一人の男の生涯、というテーマで(前作も似たようなもの)事件同士の繋がりや関係性を読み物として楽しむことができる作品である、と言えます。

またページ数にしても、200ページ弱と読みやすく、構成も犯人逮捕までが第1部、犯人の独白が第2部、という形で、場面の移り変わりや物語の魅せ方という点では、本作の魅力が十分詰まっています。本作には、ヴィクトリア朝におけるイギリスの繁栄と、それに伴う植民地への圧制や労働階級の搾取、こういった矛盾する当時のイギリスのありのままが、惜しみなく注がれています。それゆえ、本作の事件に対する、信憑性と妥当性が十分満たされ、読者をシャーロック・ホームズの世界に引き込む要素となっているのでしょう。


ホームズ時代(勝手に1886~1919年くらいとしている)は短編推理小説が主流だったそうなので、次回は出版順に短編集を読んでみようと思っています。実を言うと、本作は短編集にしても良かったんじゃないかと思うくらいです。ただ、事件の持つ背景や登場人物の内面を、ここまで掘り下げ膨らませる卓越した技術があってこその作品だとも思うので、やはり、アーサー・コナン・ドイルは偉大な作家であり、後世に与えた影響の大きさにも頷けます。

 

 

では!