七つの時計【感想】アガサ・クリスティ

発表年:1929年

作者:アガサ・クリスティ

シリーズ:バトル警視2

 

数字には各々意味があるって知ってましたか?

ヨーロッパにおける数秘術(占いのひとつ)によるとこうなります。

1…独立や創造性、意志の強さ

2…感受性の強さ、協調協和

3…柔軟性、楽観的で変幻自在な感性

4…現実的、向上心、問題処理能力

5…大胆、推理力・洞察力

6…癒し、平和主義、理想主義

7…直感力、分析力、技術者・発案家

8…情熱と実行力、卓越した決断力

9…全要素を含み、繊細で複雑、完璧主義

 

いかがですか?自分の好きな数字と比べてどうでしょうか?

と、まぁ本作にはまったく関係ないんですけどね。

 

本作は、長編第5作『チムニーズ館の秘密』の続編にあたる作品であるため、前作を読んでいればなお面白いと思います。

しかし本書単独で読むことも可能なため、ご安心を。

 

本作では、謎めいた異国のプリンスの登場や国家存亡を懸けた一大事件は起こりませんが、その代わりに冒険好きで男勝り、行動力がありそれに見合うだけの胆力ももち合わせた女性バンドルが登場します。

 

前作は冒険ミステリーという形をとったロマンス小説の印象が強かったが今回はどうでしょう?

たしかに主人公バンドルは、貸していたチムニーズ館で再び起こった怪奇事件と、それを引き金に起こるもう一つの事件に巻き込まれ(自分から)、時には、危険を顧みずに虎の穴に飛び込み、知性を総動員して窮地を脱出します。

またある時には、意中の男性に嫉妬し、やはり冒険ミステリーとロマンス小説の中間のような印象をもつかもしれません。

しかし、読者対作者という形で見るならば、まぎれもなく初期の佳作の一つであり、真相に辿りつき驚嘆の声を上げる時、クリスティの手玉に取られていたことに気付きます。

 

『秘密機関』『茶色の服の男』『チムニーズ館の秘密』『ビッグ4』とスパイ・冒険小説風の作品が続いてのこの『七つの時計』です。

物語の犯人ではなく“真相”に気付く読者は、他作品に比べても多くないはずです。

その分犯人探しが目的で本作に挑戦する読者は肩透かしを食うことでしょう。

とはいえ、しっかりと読者に対するミスリードがなされ、真相に至る伏線もしっかり張られています。

 

不満点を挙げる箇所がないように思えるのですが、個人的にどこか腑に落ちないような、納得できないような気持ちもあります。たぶん前作『チムニーズ館の秘密』でのバトル警視の活躍に心奪われた所為で、過度の期待を抱いてしまったからです。

バトル警視が華麗にチャチャッと事件を解決してくれるものと思い込んでいた私は、スカされたところがありました。

真相にピンとも閃かなかったせいもあるのでしょう。まだまだ、修行が足りません。

 

では!