僕の猫舎

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茶色の服の男【感想・雑記】ーアガサ・クリスティ

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茶色の服の男 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

茶色の服の男 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

 

金色の服の男、といえば横山たかし

黄色の服の男、といえはダンディ坂野

そして、茶色の服の男といえば……

 

なんとも好奇心の蓋が開かなさそうなタイトルですな。

よりによって、また『秘密機関』よろしく“ブラウン氏”の登場か?と思いきや、本作は『秘密機関』とは一線を画す、冒頭ミステリーなのです。

 

1924年に発行し、アガサ・クリスティの長編第4作となる本作には、やはりアガサ・クリスティお馴染みの冒険好きで頭脳明晰な美女が登場します。これらアガサ・クリスティの憧れとも化身とも取れる女性たち(通称ア・ガール)の1人アン・ベディングフェルド(以下アン)が今作の主人公です。

彼女は、知る人ぞ知る考古学者ベディングフェルド教授の娘であり、若いが活動力に溢れ、愛やロマンス・冒険に心焦がれる少女?(そもそも何歳か不明)。

突然、病気で父を亡くし、幼いころに母も亡くしたアンは、僅かばかりの遺産を握りしめ、父の知人に誘われるがまま、ロンドンに移り住みます。

そして、ロンドンの地下鉄内で不審な事件に遭遇し、“茶色の服の男”との出会いを経て、ロンドンから南アフリカへと渡る、壮大な冒険へと旅立ちます。果たして“茶色の服の男”そして、謎の人物“大佐”は誰なのか?

 

本作品は、解説でも触れられているとおり、クリスティが本作以降に発表した、ある名作のプロトタイプないしは、トライアルではないかと言われています。実際にどうだったかはさておき、ただの冒険小説でないことは明らかです。この点については詳しく表記することは避けるとして、該当作品を読んでから本作を読むのも一興かと思われます。

また、アンの明朗快活な語り口調とペドラー卿の面白おかしい手記が、交互に物語の進行を助けることで、読者を最後まで飽きさせることがありません。

 

物語大半の舞台となる南アフリカは、1960年代までイギリス自治領だったこともあり、アンたちイギリス人(白人)と原住民(黒人)間の格差や差別的な要素が随所に見受けられ、現代の状況から見ると少し違和感を感じるところもあるかもしれません。しかし、そうした当時の情勢を知ることができるのも、作品を楽しむうえでの一つの醍醐味です。たしかにアンのロマンスにも重点が置かれている作品であり、女性なら共感する部分も多いかと思われますが、男性も侮るなかれ!

 

好意を持っている女性に「わたしがほしくないの!?」と聞かれればどんな男性もイチコロでしょう。

 

そんな時は、迷わず“あくまで”紳士的な態度でこう言って欲しい「ほしいに決まっている!」と。

 

 

下心は無しで。

 

 

 

では!