僕の猫舎

主に海外ミステリの感想を綴るブログです。

牧師館の殺人【感想・雑記】ーアガサ・クリスティ

牧師館の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

牧師館の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

牧師館の殺人(クリスティー文庫)

牧師館の殺人(クリスティー文庫)

 

皆さん神様を信じますか?

かくいう私は生命の誕生について、偶発的に誕生した可能性は皆無だと思うのですが、かといって神様が作った証拠もないし、宗教が生命の起源にかこつけて、勢力を拡大したという解釈にも頷けます。

 

まぁ神様を信じる信じないに関わらず、1930年代のイギリスにおいては、各地域に教区が敷かれ、管轄する牧師が教会堂・墓地を含む用地、そして兼住居となる牧師館を運営?していたそうです。

日本人には牧師館なんて馴染みないですよね。

そんな前置きはさておき本作は、1930年に発行されたミス・マープルものの記念すべき第1作です。

 

架空の村セント・メアリ・ミードに住む牧師のクレメントが語り手になり、村で起こる、ある殺人事件を紐解きます。

 

 

物語の大半は、クレメント牧師を中心に話が進みます。私は今作が初ミス・マープル作品となるのですが、まず、驚いたのは、マープルが出てこない!ということです。そのため、今まで何作か連続でポアロ作品を読んでいた私は、少し物足りない印象を受けました。

 

 

彼女の人物像については、冒頭で、「村じゅうで一番意地の悪いひと」とかなり酷い言われようですが、クレメント牧師はある一点において彼女を認めています。それは人間性の洞察力の高さです。マープルいわく人間は××類、××目、××科まで細かく分類でき、彼女にしてみれば人間性を辿って行くことで、人の行動心理は全て把握できるのです。

 

 

クレメントは作中で腑に落ちない言動や、不可解な現象を見聞きしますが、それがいったい何を意味するのか、正確なところまで理解できません。一方彼女は自宅や庭から人々を観察し、頭の中で彼らを分類し、人間性を観察することで、彼らの行動とその結果との相違を見つけ出し推理していきます。今作の犯人の意外性はもちろん、犯人までたどり着くまでのプロットにも一貫して彼女の人間性の観察が役立っていることがわかりました。作中で疑わしき人物が何人か出てきますが、それもただの作者のミスリードではなく、全て相応の根拠が理路整然と整理されており、後味も良いです。

 

 

クリスティ作品の代表的な探偵としてあげられるマープルですが、もう一人、派手で目立ちたがり屋なポアロとは対照的に彼女は、地味で控えめな態度でありながら、悪を憎み、弱者には優しく手を差し伸べる女神のような立ち位置なのではないかと思あます。それがマープルものの魅力ではないのでしょうか?とはいえマープル作品に馴染むのにはもう少し時間がかかりそうです。

 

9/9追記

今作の語り手クレメント牧師の妻グリゼルダのキャラクターが好きです。クレメント牧師との掛け合いや、少し年の離れた2人(しかもグリゼルダが若奥様)の愛情表現の方法など、見ていてニヤニヤしてしまう展開もかなりアリ。

 

そもそもグリゼルダなんて名前の人いるのか?なんて思って調べてみたら、これがまたキツイw 魔法少女グリゼルダから魔女グリゼルダ、あげくの果てに戦乙女グリゼルダまで登場し、画面を覆い尽くしたので、オェーとなりましたが、なんとか気を保ちました。 一応18世紀イタリアのオペラの中に王妃グリゼルダの名前が見られたので、歴史あるヨーロッパの名前なのでしょう。肝心のオペラの詳細はわかりませんが、やたらと愛愛アイアイ言っている、そんな感じでした。詳しくご存知の方お教えください。

 

 

では!