マイレージ・マイライフ【感想】

マイレージ、マイライフ [Blu-ray]

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久々に映画のレビューでもしてみますか。 

男っていうのは 近い将来、おじさんになったら、ジョージ・クルーニーみたいな男性になって、月刊誌LEONとか買ってチョイワルオヤジに変身したい、と望むことでしょう。 そんな夢見がちの平たい顔族全てに送ります。

 

マイレージ・マイライフは 2009年のアメリカ映画。

あらすじはウィキペディアを見てください。

登場人物は、企業に代わって解雇を通告するターミネーターことライアン(ジョージ・クルーニー)、ライアンの恋人でザ・大人の女性アレックス(ヴェラ・ファーミガ、ライアンの後輩で世間知らずのお子ちゃま新入社員ナタリー(アナ・ケンドリック)、この三人です。

 

なるべくネタバレしないよう書くつもりですが、見どころはなんといってもセクシーすぎるジョージ・クルーニーですな。褒め上手で、女の扱いは上手く、もちろん仕事も完璧にこなす。そんな彼が作中で「オジサン」呼ばわりされたり、バッサリ切り殺される(あくまでも表現)のが面白い。

アメリカ社会が抱える失業問題や家族愛・夫婦愛がテーマかと思いきや、所々にコメディタッチな場面が挿入されていて、笑いながら楽しめる映画だと思います。

中でもライアン・アレックスとナタリーが男性観・女性観について話し合うシーンは、誰もが心の中では感じていて、理解しているつもりでも納得しきれていない痛い部分をこれでもかと突いてくる。妥協という言葉の、真の意味を知らない世のうら若き男女には、是非とも見ていただきたい名シーンの一つです。このシーンでほとんど会話に参加しないライアンに違和感を感じながら映画を見ていると、彼が辿る結末にも妙に納得できてしまいますね。あーライアンも経験不足なんだな、と。人との繋がりを極力避け、血を分けた家族とでさえ人間関係を構築できなかった男、そんな男が人との繋がりを求めた時、そう簡単にいくはずがありません。

 

一方そんなライアンをうらやましく思う観客も多いことでしょう。結婚は墓場だ、ローンは地獄だ、その上リストラにあった日には、お先真っ暗、最初からなにも持たなかった方が良い、と。そんな人物が作中にも登場し、なんとライアンが説教を垂れるシーンもあります。「ヒュー!ライアンかっこいい!!」などと思っていた観客は、「あれれ?どっちなのライアン?」と困惑することでしょう。

やはり困難な時、寂しい時に隣にいてくれるだけで安堵し、心の拠りどころとなる人がいることは、なんと幸せなことか気づかせてくれます。そして、それに気づけたライアンも今後、幸せな人生を送っていくに違いありません。

 

邦題は「マイレージ・マイライフ」のとおり“マイルこそ、わが人生”的な狂信的航空マニアの映画に思えますが、原題は「Up in the Air」直訳すると“宙に浮いた”とか“漠然とした”という意味だそうで、人生においてもフワフワと宙ぶらりんな生活を続ける主人公を暗示させます。しかし、宙に浮いた状態を現在進行形とすると、未来はどうなるのでしょうか。このまま地に足付けずふらふら飛び回る、それも一つですが、もう一つ考え方はあります。それは「飛び続ける」ということです。水中で泳ぎ続けなければ沈んでしまうサメのように、常に世界を飛び回りマイルを貯め、人と出会い、愛を育み、またマイルを貯める。リストラを告げ、結婚式に参加し、思い出の場所を巡り、マイルを貯める。「そろそろお前も落ち着いたら?」という保守的なメッセージと「お前は飛び続けるんだ!」というチャレンジャー精神を奮起させるそんな力強いメッセージの2つが込められている、実は奥深い映画なのかもしれません。ライアンがどちらの道を選ぶのか?前者か後者か?はたまたどちらもか?それは実際に見て確かめてください。そして隣にいる大切な人をギュッと抱きしめるか、いないけどただ“漠然と”なにかをギュッとするか、そこは読者にお任せします。

 

 

では!!