ユーモアミステリとは言い切れない毒気の強い一作【感想】『伯母殺人事件』リチャード・ハル

発表年:1935年 作者:リチャード・ハル シリーズ:ノンシリーズ 本作は三大倒叙作品とも呼ばれ、知名度もかなり高い作品です。 前回読んだリチャード・ハルの作品『他言は無用』も、中々手の込んだ構成で書かれた秀逸な作品だっただけに期待が持てます。 ts…

センスの無さに泣けてくる。涙雨(笑)

ちょっと前のことですが、mixiの日記について書いた投稿を覚えておいででしょうか。

笑いをミスディレクションに活かした稀有なミステリ【感想】『盲目の理髪師』ジョン・ディクスン・カー

発表年:1934年 作者:ジョン・ディクスン・カー シリーズ:ギデオン・フェル博士4 巨匠カーの作品中、もっともファルスの味が濃いとされる これは本書の裏表紙や中表紙に書かれた紹介文の抜粋です。 実は私自身今一つファルスという意味を掴みきれていない…

原題も邦題もどちらもセンスがある作品【感想】モーリス・ルブラン『奇岩城』

発表年:1909年 作者:モーリス・ルブラン シリーズ:アルセーヌ・ルパン4 本作はルパンシリーズの中でも屈指の知名度を誇る作品の一つに違いありません。 今までシリーズを読んだことがない私でも、『813』や本作『奇岩城』はどこかで聞いたことがあるタイ…

フェアプレイに徹し過ぎるのも考え物【感想】『警察官よ汝を守れ』ヘンリー・ウェイド

発表年:1934年 作者:ヘンリー・ウェイド シリーズ:プール警部3 ヘンリー・ウェイドの作品に挑戦するのはこれが2作目です。 前回は同じ世界探偵小説全集で出された『塩沢地の霧』で、こちらは作者による巧みな登場人物の心理描写がトリックに直結している…

役所広司と言いたくて

ごめんなさい。 ほんとにどうでもいい事があったので、忘れないうちに書きます。どうでもいいのに。 会社の同僚が一人暮らしを始めるらしく、区役所に転出入の手続に行くという報告を受けた。 別にへぇ~ってくらいだし「気を付けてね」くらいしか会話を交わ…

全く文句はないけどアンクはある【感想】『エジプト十字架の謎』エラリー・クイーン

発表年:1932年 作者:エラリー・クイーン シリーズ:エラリー・クイーン5 個人的にエラリー・クイーンのミステリは、初期からハリウッド的(単純に映画向け)な作品が多いような気がします。 何らかのサプライズが必ず有り、そこに喜劇・ロマンス・サスペン…

『ドクター・ストレンジ』【ネタバレ感想】アクションとSFとコメディが見事に融合しないマーベル作品

ちょっとねぇコレは残念でした。 引用:2016 Marvel

クリスティ先生処方の精神安定剤【感想】ー『リスタデール卿の謎』アガサ・クリスティ

発表年:1934年 作者:アガサ・クリスティ シリーズ:ノンシリーズ 本作は実に多彩な短編集です。 解説では、本作は三つのタイプに分類できる、と書かれていました。 そこで私もそのタイプを参考に座標図を作り、どんな傾向の作品が多いか分析してみました。…

シリーズ2作目の呪いは存在する【感想】F.W.クロフツ『フレンチ警部とチェインの謎』

発表年:1926年 作者:F.W.クロフツ シリーズ:フレンチ警部2 シリーズものの第2作目というのは、それが映画にせよ本にせよ、かなり重要な作品になると言っていいと思うのです。 特にクロフツのようにそれまでノンシリーズの長編ミステリを書き続けていた作…

ブラウン神父の秘密【感想】G.K.チェスタトン

発表年:1927年 作者:G.K.チェスタトン シリーズ:ブラウン神父4 『童心』『知恵』『不信』に次ぐ第4作目『ブラウン神父の秘密』ですが、シリーズ作品の中では唯一、プロローグとエピローグという形で書かれています。 プロローグである「ブラウン神父の秘…

これはいい探偵【感想】『矢の家』A.E.W.メイスン

発表年:1924年 作者:A.E.W.メイスン シリーズ:アノー2 1910年の『薔薇荘にて』でフランス警視庁のアノーを生み出したメイスンは、10年以上もの月日を経て、ようやく第2長編『矢の家』を発表しました。 第1作目の『薔薇荘にて』は、シャーロック・ホーム…

青いルパン【感想】モーリス・ルブラン『リュパンの冒険』

発表年:1909年 作者:モーリス・ルブラン シリーズ:アルセーヌ・ルパン3 リュパンorルパンは出版元による違いだけなのでお気になさらず。記事内ではタイトル以外ルパンに統一してます。 実は推理小説と並行して唯一読み進めているのが冒険小説であるアルセ…

絶対に開けちゃいけない、でも開けちゃう【感想】イーデン・フィルポッツ『灰色の部屋』

発表年:1921年 作者:イーデン・フィルポッツ シリーズ:ノンシリーズ まずは 粗あらすじ チャドランズ屋敷には、過去に二人もの人間を不可解な方法で屠った「灰色の部屋」があった。ある夜、二人の青年が閉ざされた「灰色の部屋」の悪評を撥ね退けるべく、…

安楽椅子探偵のようで安楽椅子探偵に非ず【感想】バロネス・オルツィ『隅の老人の事件簿』

発表年:1904年~ 作者:バロネス・オルツィ シリーズ:隅の老人 本作は、シャーロック・ホームズのライバルの一人としても有名な隅の老人が登場する短編集ですが、日本で独自に編纂された短編集のため、この1冊だけではシリーズの魅力を語り尽くすことはで…